【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

「いやぁ、高梨さん。お早いお帰りで。僕たちも、たった今伺ったところです」

 副社長に、なんとも能天気な言葉と、人好きのしそうな、あの甘いアイドル並みのマスクで、ニッコリとはにかむような笑顔をお見舞いされてしまい。

 ――フラグも立ってたし、もう、悪い予感しかしないんですけど……。

 正面からまともにくらってしまった私が危うく、色んな意味でクラッとなりそうになりながらも。

「……あの、どうして副社長がうちにいらっしゃるんですか? ……あぁ、もしかして。例の処分のことでしょうか? それなら、わざわざこんなところにまでご足労いただかなくても――」

 一縷の望みにかけ、なんとか声を出し、言い終える前、かぶせ気味に声を放ったのは、

「おー、侑李。早かったんだなぁ? そんなことより、いい会社で働いててよかったよなぁ? お陰で、この副社長である隼さんには、一千万を立て替えてもらえて。返済も、お前の給料からの天引きで構わないとおっしゃってくれてな。いやぁ、本当に良かった良かった。これで我が家も安泰だ。

それで、なんでも、お前にちょっと頼みたいことがあるらしくてな。お前の帰りを待っていただいてたんだ」

なんとも嬉しそうな表情で、なんの疑いもなく、耳を疑うようなことを言ってのけた兄だった。
< 25 / 619 >

この作品をシェア

pagetop