【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 あまりの気持ち良さに意識を失ってしまった。

 なんだかふわふわと夢のような幸せな空間をただよっていると、顔や身体の素肌の至るところに柔らかな何かが触れるような感触がして。

 おぼろげだった意識が徐々に覚醒していくにつれ、その感触がじれったくなってきた。

 そのうちだんだんくすぐったくなってきたものだから、我慢できずに重い瞼を持ち上げた先には、愛おしそうに眇めた瞳で私の顔を覗き込んでいる隼の甘いマスクが現れた。

 互いの視線が交わった刹那、嬉しそうにニッコリとあのキラースマイルを満面に綻ばせた隼にぎゅうっと掻き抱くようにして、私の身体は強い力で逞しい腕の中に包まれていて。

 不意打ちを喰らって驚いちゃったのと、強い力の所為で苦しくなっちゃったのとで、堪らず、

「は、隼、くっ……くるしいッ」

 隼の腕の中でもがきながらなんとか声を放って訴えかけたところ。

 途端に、隼が慌てふためいた様子でパッと私の身体から飛退くようにしてベッドの上に起き上がって。

 何故か数時間前のように正座した体勢で、お預けを喰らったワンコみたいな表情で円らな瞳をウルウルさせて私のことを見下ろしてきた隼。

 さっきはあんなに力強く激しく攻めてきて私のことを翻弄しまくってたクセに……。

 そんなに逞しくて男らしい精悍な体躯してるクセに……。

 甘いマスクといい、キラースマイルといい、敬語口調といい、たまにかけるメガネといい、あざとい可愛さといい、本当にズルいーー。
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