【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 そんなの喰らっちゃったら、例えどんなに酷いこと言われてもされちゃっても、なんでも許してしまいそうだ。

 現に、もう既に、なんか色々容認しちゃったし。

 飼い主に従順なワンコみたいな隼の姿に、たちまち私の胸がぎゅっと締め付けられて、キュンという効果音までが聞こえてきそうなほど胸をときめかせてしまっていた。

 そんな私は、達したばかりでまだ気怠さの残る身体になんとか鞭打って起き上がると、隼の首に両腕を回してぎゅっと抱き着いてしまうのだった。

 ――あれ? そういえば手首に巻かれたネクタイがないような。

 不意にそんな疑問が頭を掠めてきたと同時に、隼からとっても心配そうな声音で、身体のことを気遣われ。

「侑李さん、急に動いたりして、身体、大丈夫なんですか? それに手首、痛くないんですか?」

 またまた私の胸はキュンときめいてしまっていて。

 オマケに、自由になった両手両腕でぎゅうっとめいっぱい隼のことを抱きしめることができることに、言いようのない嬉しさが込み上げてくる。

「……あぁ、うん。それよりネクタイ外してくれたんだね? ありがとう。ずっとこうしたかった。隼、大好きだよ」

 幸福感と隼の匂いに包まれつつ隼のことをめいっぱい抱きしめながら……

 以前は、隼の鬼畜という噂に、

『あんな甘いマスクで、辛辣な言葉を浴びせられるなんて、堪らない。一度でいいから縛られてみたい』

なんて意味不明なこと言ってた女子社員の気持ちなんて、まったく理解できなかったはずなのに。

 ーー手首を拘束されるのも悪くないかも。

 この時私はそんなことを思ってしまっていた。
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