【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 ーーなら、僕はどうすればいい? あー、もう、考えている暇があったら、さっさと動け。

 僕は、スマホ片手に部屋から飛び出していた。

 通路を駆けながら、まずは涼を呼び出して。侑磨さんに電話し、侑李さんが立ち寄りそうなところを色々訊きだした。

 侑李さんはバッグも持っていないし、きっとそう遠くないところに居るはずだ。

 侑李さんにも何度となくかけてはいるが、応答はなかった。

 程なくして、到着した涼の車に乗り込んだ僕は、大通りを流しながら侑李さんの足跡を辿っていた。

 その時だった。バー『Charm』のマスターである藤木先輩から連絡が入ったのは。

 思ったよりも速く侑李さんが見つかり、心底ホッとして胸を撫で下ろしつつ、バー『Charm』へと向かった。

 ところが、五分とかからずに『Charm』に着いた僕と涼を待ち受けていたのは、藤木先輩の信じられない言葉だった。

「お、速かったじゃん。さっきまで居たんだけどさぁ。なんか知り合いの男がたまたま居合せて、その男に彼女のこと見てて貰ってたんだけど、戻ったら居なくてさぁ」
「男ってどんな男ですか?」
「あー、そういえば。なんか、隼によく似てたかも。なんていうの、こう、人懐っこい笑顔で、ニッコリ笑顔が可愛くてさぁ。ちょっとあざとそうな、そんな感じ」
 
 藤木先輩の言葉に、自分が老舗ホテルで侑李さんと対峙した時に抱いてしまった、身勝手な心情を思い出してしまい。妙な胸騒ぎを覚えた。
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