【紙コミックス①②巻発売中】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 噂というのは……

 百人居れば全員が“眉目秀麗な王子様“、そう言って口を揃えるであろう容姿の持ち主である神宮寺隼。

 私は興味もなく今の今まで顔なんて知らなかったけれど、王子様と呼ばれているだけあって、常に学園きってのモテ男だった。

 それに誰もが知る老舗高級チョコレートブランド『YAMATO』の御曹司というオマケまで付いている。

 見た目だけじゃなく、頭脳も性格も良いらしく、人当たりも良く温厚でいつもにこやか。ファン曰く、運が良かったらキラースマイルとやらを拝めることもあるとか。

 けれど、これまで一度も特定の彼女が居たことがなく。“難攻不落の王子様“とか、“傾国の王子様“なんて揶揄されてもいた。

 そしていつもその王子様に仕えるように傍に居る蔵本涼も、王子様とはタイプこそ違えど容姿端麗で、王子様と人気を二分するほどのモテ男として有名だった。

 同じく、有名な老舗呉服屋の御曹司というオマケが付いている。

 ……が、しかし、あくまで噂だけれど、その裏でまことしやかに囁かれている黒い噂も存在して。

 告白してきた女の子の中で気に入った者が居れば、セフレにして、散々弄ばれた挙げ句妊娠させられ、ゴミくずの様に捨てられた者が居るとか居ないとか……。

 と言っても、実際そんな者が居るというのを見聞きした者など居ないようだが、そんな黒い噂があるくらいだ。きっとろくな人間じゃないのだろう。

 そんな派手な二人のことだから、当然派手な輩や女子たちとワイワイ騒ぐのかと思いきや、意外にも真面目にテニスに勤しんでいる一部の属する京香の彼氏の居るグループの輪の中で、和やかに談笑していた。

 ちょうど私と京香が陣取っている座卓の隣なため、見たくなくても自然に視界に入ってくるのだ。

 そんな訳で、時折彼らの会話が耳に流れ込んできて。

 スポーツまで万能らしい二人は友人に頼まれて、助っ人として公式戦にほぼ毎回参加していること。

 この新歓コンパにも、顔だけでも出してほしいと幹事である先輩に頼まれて合流したこと、等などを知ることとなった。

 それでも、二人にさして興味のなかった私は、王子様に興味津々の京香の隣で生返事を返しつつケータイばかり弄っていたのだった。
 
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