【紙コミックス①②巻発売中】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 そろそろ終わりが近づいてきた頃。

 始まってすぐ、私と京香の話に無理矢理割り込んできて、しつこく連絡先を訊いてきた二年の先輩のチャラそうな男(興味なんかないのに一方的に名乗ってきたけど忘れた)が、再び現れた。

 最初こそ先輩だからとやんわりと断っていたのだけれど、あんまりしつこいので、ずっとシカトしてたにもかかわらず、だ。

 ここははっきり文句のひとつでも言ってやろう、と身構えていると。

「さっきはしつこくしちゃってごめんね? お詫びに、はい、ウーロン茶……とか言いながら、アイツが注文間違えちゃったんだよねぇ。良かったら飲んでよ」

 私の肩に馴れ馴れしく手をポンと乗せてきて、さっきまで自分が居た座卓の方に居る仲間の一人を指し示しながら、そんなことを言ってきた。

 ニマニマと酒に酔った赤ら顔をテカテカとギラつかせていて、明らかに酔っ払っている様子だ。

 下手に冷たくあしらって絡まれても面倒だし。まぁ、同じサークルの後輩に不快な思いをさせてしまったという自覚もあったようだし。

 ちょっとチャラいだけでそんなに悪い人でもないのかもしれない。

 そう思ってしまった、この頃まだ世間知らずだった私は、なんの疑いもなく素直に受け取ることにしたのだった。

 まさか、それがウーロン茶じゃなく、ウーロンハイだとも知らずに。

「はい、ありがとうございます。いただきます」

 チャラい先輩が居なくなってからは、京香とくだらない話をしつつ時間がたつのを待っていた。

そんな時、さっきもらったウーロン茶がなみなみと注がれていたグラスの中身がもうニセンチほどになったところで、トイレに行きたくなってきて。

「京香、ちょっとお手洗い行ってくる」
「ああっ、私も行く~」

 京香と一緒に向かおうとした時、「京香」と、京香が彼氏に呼ばれてしまったため、

「じゃぁ、先行ってるね~」
「うん、ごめんね~」

なんて言葉を交わした私は一人トイレへと向かうこととなった。

 その道中、お酒なんて呑んでいないはずなのに、足元がふらついて、さっき食べたデザートにお酒でも入ってたのかなぁ? なんて思いつつトイレへと向かったのだが……。

 数分後、手を洗い終えた私がトイレから出た瞬間、急にぐらぐらと眩暈を起こしてしまい。

 眼前には、何故かさっきのチャラい先輩の姿が。
 
 そう思ったときには、まだ未成年のためお酒も呑んでいないのに、どういうわけか、プツリと意識が途絶えてしまっていたのだった。

 そのとき、近くで男の声が聞こえてきて。何かを咎めているような、そんな低い声。 

 そんな声と一緒に、身体を温かな何かに包まれているような心地いいぬくもりを感じたような、そんな気がした。
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