涙の先にあるのは、きっと
やっぱり何も変わらない……。私は必死で言い返すけど、お父さんたちの冷たい目は変わらない。

「だから何なんだ?歌がちょっとうまいだけでいい会社には就職できないだろ。音楽ができたって何の役にも立たない」

お父さんはそう言い、朝ご飯を食べ終えて立ち上がる。キッチンへお皿を持っていく時に「邪魔だ」と私にわざとぶつかっていった。思い切りぶつけられたところが痛む。

「あんたなんて産むんじゃなかったわ。まあ、私たちの子どもは亮平だけなんだけど」

お母さんの言葉に心がまた痛む。何度も言われている言葉のはずなのに、いつまで経っても慣れることはない。体の痛みより、心の痛みの方がひどくて泣きそうになる。

「……もういい!」

私はこれ以上話しても無駄だ、と感じて家を出ようとする。リビングのドアに手をかけた時、亮平が言った。

「誰からも愛されない、必要とされないってカワイソ〜……。いい加減死ぬ気ないの?」
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