【完】スキャンダル・ヒロイン
…私何を意識しているの?こんなの冗談に決まっているし、勘違いしちゃって馬鹿みたいじゃない。
思わず反対側の窓を向いて、流れゆく街並みを眺めていた。
心臓の音よ落ち着いてくれ。
シンと静まり返った車内の中で、自分の心臓の音だけが忙しなく響いてる気がして落ち着かなかった。
姫岡さんを意識した事なんてなかった。こんな口が悪くて傲慢で意地悪な王様のように偉そうな人…。
全然タイプなんかじゃなかった。
けれど、どうしてこんな気持ちに。
こいつに振り回されるのはもう慣れた。けれど…こういった振り回され方には慣れていない。意識してしまうじゃないか。
静かに通り過ぎていく都会の夜景を見つめ、心を落ち着けようと必死に胸を抑えこんだ。
このドキドキはきっと何かの勘違いに決まっている。そうじゃなかったらおかしい。