【完】スキャンダル・ヒロイン

そんなの見なくても聞かなくても分かる。
だってあなたは……本当はとても素敵な人だから。

「お前は俺に彼女が出来てもいいのか?」

「いいも何も。真央に好きな人がいても私には関係のない事だから……」

「そうか…」

背中を向けたまま、真央の方が見れない。今、私は傷ついた顔をしている。
これじゃあまるで真央に好きな人がいてショックを受けているようじゃないか。
それでもキュッと胸が締め付けられる苦しさ。どうしてこんなに苦しいの?



初めから分かっていた事。住んでいる世界が違い過ぎる。今を楽しく過ごして…少しだけ優しくしてもらったからって…勘違いをしてはいけない。

この夏が過ぎて、このバイトが終われば……出会う前の他人に戻るだけなのだから。だからもうこれ以上あんまり、私の心を揺らさないで…。
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