【完】スキャンダル・ヒロイン

「あはは。今度のドラマはどんな感じなんですか?恋愛ものですか?」

「うん。恋愛もの。役柄は頭脳明晰の容姿端麗の若手社長」

「うわぁー…昴さんにぴったりです。役っていうか…イメージそのまんまって感じ。」

「でもドSみたいな。女の子ってそういう設定好きだよね」

「昴さんはあんまりドSってイメージないですけどね。
本当にただただ優しいって感じで。私みたいなただの大学生にも優しくしてくれるんだもん。
私芸能人って性格が悪いんだろうなぁーってイメージがあったけれど、昴さんに会ってイメージ変わりましたもん。
それに瑠璃さんや豊さんだって親しみやすいし」

「別に俺は誰にでも優しいって訳じゃないよ。可愛い子には特別優しいかもしれないけど」

吸い込まれそうな黒目がちの瞳に、甘い低音の響く柔らかい声。

こんなのキュンキュンしない方がおかしいって。けれどそれはさっき真央に感じた気持ちとはちょっと違う。

真央の言葉にも胸がキュッとしたけれど、あれはどこか切なくて痛い気持ちだった。けれど昴さんは違う。ただただひたすらに甘くって…。

「そんな事…誰にでも言ってるんでしょう?狡いです、昴さん」

思わず本音が出ると、昴さんはまた不敵な笑みを浮かべるから…この人は本当に狡いなぁ~…。

本能的に女の子をときめかせる台詞や態度が分かっちゃって、それをごく自然と使ってしまうんだよ。人たらしだとも思うけど…そんな優しい態度を誰にでも取ってたら期待しちゃう女の子って沢山いると思う。

共演者同士で争いが起こるのも少し分かる気がする。
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