【完】スキャンダル・ヒロイン

あの時の花火大会でも、こうやって彼の横顔を見つめていた。言葉を失ってしまう程美しかった、あの横顔を。花火の光りよりも強烈な輝きを放っていた。

私にとって真央はそういう存在だった。

「今日はまあ…楽しかったか?」

「え?うん…まあ…」

その質問に素直に’うん’と答えられなかったのは、真央が岬さんとばかり一緒に居たせい。

「久しぶりに昴とゆっくり過ごせて良かったな。まああいつは元々忙しいから、あんまりオフとかもないけど」

だから何でそこで昴さんの名前が出てくるのよ。かと思えば、さっきは昴さんと私の邪魔をして来たり…真央が何を考えているのか分からないよ。

「別に…昴さんとはそういうんじゃないし。
自分の方こそ岬さんと一緒のオフを過ごせて良かったね。お互い売れっ子だから目立ってデートなんか出来やしないんだろうし」

私の言葉に真央は眉をひそめる。

「何でそこで岬の名前が出てくる?
大体今日だってあいつが来るなんて聞いてなかったのに、昴が口を滑らしたばかりに自分も行くって聞かなくって」

「でも仲良さそうだったじゃん。ずっと一緒だったし、腕なんか組んじゃって、でれーっとした顔しちゃってさ。
確かに岬さんは可愛いし、けれど嬉しそうにでれでれした顔は見るに堪えないかったっつーのよ」

「誰がッ!でれでれなんてしてねぇだろ!あいつが勝手に!
あ………まさかお前ヤキモチを妬いてるな?」
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