【完】スキャンダル・ヒロイン
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結局真央の強い我儘で、取り合えずは私はグリュッグエンターテイメントの寮から大学に通う羽目になった。

マンションを借りて二人暮らしでもするかとさらりと言われたけれど、嫌だと言った。その言葉には不満そうな顔をされた。

私はこの薄気味の悪い不気味な寮が中々お気に入りなんだ。暫くはここで皆と一緒に生活をしたいと考えている。未来の事はまだまだ分からない。

けれど昴さんは既に寮を出て行って、再びマンションで暮らすと言っていた。

「だから俺は分かってたんだよな。お前が俺の事を好きな位」
「だって俺だぞ?この世界に俺以上にかっこいい男なんているもんか」
「本当にお前は素直じゃない女だ。」
「可愛げがない事は知っている。少しは性格を直せ」
「この俺がお前のような一般人と付き合ってやっているのを光栄に思え」
「俺と並ぶと少し可哀想だが、まあそこは我慢しておけ」

饒舌になり、寮内で皆の前でベラベラと喋り出す真央に
周りは少し呆れ顔だった。

「あの人の言う事は全部反対言葉として受け取った方がいい。本当に素直じゃない天邪鬼なんだから」

豊さんが私の耳元でぼそりと囁く。
その様子に目をぎらりと光らす。

「おいそこ!くっついてんじゃねぇよ」

ぐいっと自分の方に私の体を引き寄せて、豊さんを睨みつける。
素直じゃないのは知っている。けれど天邪鬼ならば私も負けないような気がする…。
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