東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
「負けないため……」

「ああ。それが俺たちの意地だな」

――意地……。

「社会に出てからは、御曹司とかいうレッテルに対する意地みたいなもんかな」

ズキッと心が疼いた。
叶星はグラスを見つめながら、この人は今、どんな顔で言っているのだろうと思った。

笑っているか微笑んでいるかしているのだかもしれないが、顔を上げられなかった。

――私はまだ何もしていない。

御曹司や令嬢が負けないために必死になってしてきたを、なにもしていない。
羨んでいるだけで、卑屈になるだけで。時間はたっぷりあるというのに。


「俺が小学生の時かな、大毅さんに助けてもらったことがあったんだ」

ふいに仁が話し始めた。
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