東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
「もし、俺のほうが先に大毅さんに連絡ついたら、何か言っておくことある?」

「早く帰って来るように」

「うん。わかった。じゃあ帰るね、なにかあったら店においで」

「はい。わかりました」

黒崎は終始黙ったまま、コーヒーを飲むだけ飲んで席を立った。
なにか言ってやりたいと思ったのに、結局、何も言えなかったのである。

でも、セイさんの言葉を信じれば、きっと大丈夫なんだろうと思った。


玄関を出て、別館から離れるとようやく声を出した。

「彼女のことは任せる。俺はお手上げだ」
そう言うと、仁は「了解」と笑った。
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