東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
なにしろ面白かったのだから。

さっきも、あいつは全身で驚いていた。鳩が豆鉄砲をくらったような顔というのは、ああいうのをいうのだろう。
そんなことを思い出しながら廊下を歩き、執務室に入った大毅はついにクックと声に出して笑った。

「失礼します」
ノックと共に入ってきたのは黒崎だ。

「おはようございます」
「おはよう」

笑いを隠し切れなかった上司を不審に思ったのだろう。「どうかしましたか?」と怪訝そうに眉を潜める。

「いや、別に」
軽く咳をして笑いを沈めたあと、大毅は思い立ったように黒崎を振り返った。

「なあ黒崎、俺は存在感があるほうだよな?」

「ええ。そうですね。どちらかといえば、ありすぎるほうではないかと思いますが」

失礼な言い草だが、黒崎の言う通りだと自分でも思う。

「エレベーターの中で気づかれなかったのは何故だと思う?」

「え? ここのエレベーターで、ですか?」

「ああ。ここで。ついさっき」

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