保野田、意味わかんない
「海愛!」
腕を広げて駆け寄ってくる。
「やだやだやだ、濡れる」
これはきっとハグだろう。わたしは逃げることとする。
「じゃあ、またね!」
門を開けて敷地から出ると、格好的に追いかけられなくなった彼が立ち止まる。
しめしめと思い、振り返った。
「わたしもちゃんと、すきだよ、保野田」
濡れたのち、すっかり乾いたサンダル。
この足でバタバタと走る夏も、悪くない。
End.
メニュー