溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~
7月の上旬の土曜日、所属している(食べ歩き同好会)サークルの前期試験前の決起及び報告会があった。
サークルの所属人数は1年から4年まで合わせて27人。
今回はそのうちの13人とOBが4人、計17人での食事会となった。
このサークルはOBやOGが卒業してからもライングループに残っているため、2か月に1度の報告会にけっこう出席してくれる。
今日も私の3期上のOBの先輩2人と2期上のOB2人が出席してくれていた。

その中でも3期上の風間大輝(カザマダイキ)先輩と山根青依(ヤマネアオト)先輩はイケメンなので初めて見る1年生女子4人はキャッキャッとテンションが上がっていた。
そして2年の村上唯(ムラカミユイ)も昨年初めて2人に会ってから狙いを定めていたのでハンターのような目つきになっている。

いつもの定位置、入口近くで注文等を取りながら会を楽しんでいる私の横に今日は何故だかずっと大輝先輩が陣取って食事をしている。


「大輝先輩?もっと真ん中の方でみんなと飲まないんですか?」

「ん?李子は俺が横にいたらイヤ?」


イヤではないが大輝先輩が私の横にいると言う事はその横には青依先輩がいるわけで、その2人のどちらかを狙っている唯は2人の前の席に座っていて、彼女からの射られるような鋭い視線が送られ続けているのだ。

私の前に座っている同級の友、田畑奈津(タバタナツ)もその視線に気がつき私に同乗の視線を送ってくれている。


「イヤなわけないじゃないですか。そうじゃなくて、みんな先輩たちと話したいんじゃないかなーと思って。」


やんわりと向こうにどうぞーと言ってみたが『んー、今日はそう言う気分じゃない。』と却下された。

みんなと交流したくて来たんじゃないの?何しに来た!私を困らせに来ただけか!


と言ってやりたい気分だ。


「先輩たちは今日お仕事お休みだったんですか~?」


甘ったるい声で大輝先輩に唯が話しかけるが『そう。』以上かい!って感じで隣の青依先輩に話しかけるか私に話しかけるかしない。あと、たまに奈津に。

ものすごーく、この席居づらい。


「李子先輩!チューハイウメ!」

「あのさ、自分で頼めば?李子は先輩でしょ?店員じゃないっての。」


うわー奈津がイライラしてる。ぶりっ子とか嫌いだもんなー。


「いいよ別に。チューハイウメね。大輝先輩たちは何か頼みます?奈津は?」

「じゃあ俺と大輝はもう一杯生中お願い。」

「了解でーす。・・・すみませーん!」


注文したお酒が届いたら唯は一気に飲み干しもう一杯注文をしていた。
20歳になって飲み始めたのは最近の唯。


「そんなに飲んで大丈夫?」


心配になり声をかけたのにフン!って感じで目を逸らされた!


「酔ったら送ってもらいますから。」


へにゃっとした笑顔を大輝先輩に向けながら答えたが


「俺、知らないよ?そんな自分から潰れる飲み方する子の面倒は見れないし。」


と撃沈。そのついでのように私を睨むのやめて欲しい。
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