溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~

8.プロポーズ

Side大輝

ナチュレ食品の社長、竹内さんに母娘を迎えに来てもらった次の日、俺は親父と竹内さんに話をしに行った。
竹内さんは終始『迷惑をかけて申し訳ない』と謝っていた。
そしてもう二度と俺に会いに来させないともう一度約束を取り付け帰った。

母さんは親父が言った通り入院する事になった。
『大輝の顔を見ると、まだ元に戻るかもしれないから見舞いはもう少しやめた方がいい』と言われ顔を見に行くことは出来ていない。
親父は三日に一度は行っているらしく顔色もいいし、落ち着いてるよと言っていたので安心した。

内藤さんにこちらから連絡すると言われてから十日、いまだに連絡はない。
李子と離れて一か月以上経っている。

早く李子に会いたい、一緒に暮らしたい。


俺も内藤さんからの連絡を待つ間、何もしなかったわけじゃない。
いくら俺に近づかないよう言われてても本当に来ないと言う確証はない。
それに、あんな事があった家に住むのも李子の精神的に良くないと思い引っ越す事を決めた。

でもなかなかいい物件が見つからない。

物件は決まってないが、持ち主のじいさんには引っ越すことを先に伝えると『二駅先にもう一軒マンションがあるが見てみるか?ちょうど春に前の住人が引っ越したまま空き家なんだよ』と。

じいさん、何軒持ってんだ?マンション。

また甘えるのもな・・・、と思ったが実際自分で探してみて自分たちが出せる物件だと古いか狭いか。


「また、じいちゃんに甘える事になるけどいいのかな・・・。」

「いいさ、いいさ。家は誰か住んでないと傷む一方だしな。孫に甘えられていやがるワケないだろ。」


早速、次の休みにじいさんとマンションを見に行った。
駅から徒歩10分、駅からマンションまでの道は飲食店や食材、雑貨などいろいろな店が並ぶ通りを抜け少し歩いた先にマンションはあった。

マンションの目の前は少し大きな緑豊かな公園、俺は見たとたんに李子との生活を思い浮かべた。
小さなヨチヨチ歩きの子供の手を引き公園で遊んでいると『ご飯よー』と李子が呼びに来る。
ママを見つけた子供が李子にかけより抱きついて、その子を俺が抱っこして家に帰る・・・。


「じいちゃん、ここ借してもらう。李子も気に入ってくれると思うし。」


そこから直ぐに引っ越しの手配をし翌週末には引っ越しを終え、俺もやっと自分の家に安心して帰って来れるようになった。
自分でも気づかなかったが、また待ち構えられてるかもしれない家に帰る事にかなり神経を尖らせていたんだと知った。

引っ越しを済ませ毎日の日課となる李子へのメッセージを室内とベランダから見える写真と共に送った。


【引っ越し、終わったよ。早くここで李子と暮らしたい。】



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