溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~
家に戻ってもそこまで痛みもまだ強くないしなーと、いつも通り家の掃除を始めた。
もし入院になれば一週間は家を空けるし。

初めのうちは心配でずっと後ろをついて来ていた大輝だったが大丈夫そうだと判断するとリビングで仕事を始めた。

夕方四時を過ぎた頃から急に痛みが激しくなってきた。
病院へ一度連絡を入れる事にした。


「間隔は五分~八分です。痛みも逃さないとだいぶきつくなってきました。」


私が電話をかけている事に気づき大輝が傍に来てくれた。
電話の途中でも痛みがやって来る。


「では入院準備をして来てください。」


病院まで車で約十五分。

途中で破水した時用に座席にバスタオルを敷いて行く。
病院に入って直ぐに診察が行われ子宮口が七センチになっていたのでそのまま入院する事になった。
病室に移る間も痛みが来ると立ち止まって痛みを逃さなければならないほどになってきた。
病室に入り着替えをして、親たちへ連絡を入れた。

それから約一時間、陣痛も二~三分になり分娩室へ移動、そこからはあっという間にお産も進み、陣痛もひっきりなしにやって来る。


「次、陣痛きたらいきんでねー。」


やっと、いきんでいいとお許しが。キター!


「うーんっっっ。」

「上手よー、はい、力抜いてー、もう一度!」

「うーんっっっ。」

「はい、力抜いてー、もう一度!」

「うーんっっっ。」


あっ、なんか出てる!あっ、泣きだした。


「おめでとうございます!男の子ですよー。」


午後六時四十八分、二八三五グラムの元気な男の子。

横でずっと一緒に頑張ってくれていた大輝を見ると目に涙をいっぱいに溜めて、体をキレイにしてもらっている息子を見ていた。

そして私に振り向き『李子、お疲れさま。ありがとう。』と頭を撫でて癒してくれる。

キレイにおくるみに包まれた息子が私の腕の中に置かれた。
小さな手をグッパしている。
指を掌にあてるとギュッと握りしめる。
病室に移動するまで親子三人の幸せな時間を分娩室で過ごした。


「大輝、名前決めた?」

「風間陽人。太陽の陽に人で陽人。いつでも温かくお日様みたいな子に・・・、ってどう?」


陽人くんかー。


「いいねー。はーるくん、今日からよろしくね。」


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