片想い歴、10年。
「それにあんたたちは、重い罪を犯してんだよ。」



「な、何のこと?」



「今日脱走した患者は、お前たちが西荻に対して言った悪口を、自分に向けられたものだと思って、病室から飛び出した。」



「・・・は?そんなの勝手でしょ?」



は?この2人は何を言ってるの?



看護師として、恥ずかしくないわけ?



「そして、患者を探しに行った西荻は、肺炎を起こしてぶっ倒れた。・・・・つまり、あんたたちは患者も西荻も、精神的な面と肉体的な面、両方で傷つけたんだよ。・・・1歩間違えば、あんたたちは2人を殺しかねなかった。」



「は・・・。」



「まだわかんねえ?あんたたちは今日、殺人犯になりかけたんだよ!!看護師としての自覚も、資格も、何もかもないってことが証明されたんだよ!!」



寺内先生は、呆然と佇む2人に、最後に冷酷な言葉をかける。



「あんたたちのやってきたことは、俺が全部記録済みだ。これから、看護師長に証拠を持って直談判しに行く。・・・・辞める準備しとけよ。」



寺内先生は、抜け殻のようになった2人を一瞥して、階段から離れる。



あの2人は、もうこの病院には居られないだろうな。



寺内先生の恐ろしさを垣間見た、濃い1日だった。

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