ねぇ確信犯、うるさいよ


“ ユ メ ち ゃ ん ”


聞こえた気がした、聞こえていないはずの声。


音は聞こえなかったのに、口の動きがたしかにそうだった。


だからわたしは、聞きなれたその声を思い出し、心の中でよみがえらせたんだ。


もう答えは出ていて、わたしはきっと、崖の上。


自分から落ちる覚悟はないから、彼の言葉で堕とされるのを待っているようなもの。


わたしは、往生際の悪い人間だから。

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