元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
瑠衣の母親は瑠衣を待っていたかのように、瑠衣と父に見守られながら息を引き取った。
瑠衣ははじめて父の涙を見た。

大きな喪失感と悲しみをまといながら瑠衣が廊下へ出ると、そこには杏奈が立って待っていた。

何も声をかけられない杏奈。

瑠衣は杏奈を見ると、無表情のまま杏奈の方へ近付き、杏奈の方にもたれるように額を当てた。

大きな体の瑠衣が今までで一番小さく見える・・・。


杏奈は人目も気にせず、その大きな体を抱きしめた。

強く強く。

今は言葉はいらない。

2人に言葉などいらない。
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