元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
会食をいつも通り冷静に終えた瑠衣。
杏奈が作って資料の情報をフルに使いながら新規の大口契約をとり、夕方に社に戻った。

「あとは私が行いますので、社長はお戻りください。」
瑠衣がとってきた契約に関する書類を社でまとめるとすぐに、杏奈は瑠衣に声をかけた。

かなり元気がないことはずっと一緒にいるからこそわかる。

「あぁ」
杏奈の言葉にも、机から視線をあげずに仕事をしようとする瑠衣に、杏奈は近づき、そっと瑠衣の肩に手を置いた。

「瑠衣」
今日はルール違反をたくさんしていると思いながらも杏奈は瑠衣を放っておけない。

「ん?」
やっと杏奈の方を見た瑠衣。

「お母さん、待ってるんでしょ?いろいろ手続きとかあるだろうし。今日はお父さんのそばにいてあげて」
杏奈の言葉に少し黙ってから瑠衣はまた力なく微笑んで「わかった」と席を立った。
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