元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
「瑠衣」
いつもは社長と呼ぶ杏奈に名前を呼ばれて、瑠衣が『ん?』と少し上ずった声で返事をする。
「今、ご実家からですか?」
『いや、家に帰ってきたよ。全部終わったから。49日の時にまた休みをもらう予定だけど。それまでは何もない。母は父との最後の時間を過ごす予定なんだ。父も、理事長として仕事に復帰するのは49日が終わってからだ。』
「そうですか」
『あぁ。』
大丈夫かといっても、絶対に大丈夫と言う瑠衣。
『仕事も、俺が社に顔を出さない間、いろいろサポートしてくれてありがとうな。明日からは出社するから。休んでいた分取り戻さないとな』
「・・・」

二人の間にうまく会話が続かない。

沈黙が流れている間にも、お互いにいろいろな想いがあふれる。


しばらく沈黙が流れてから、瑠衣が口を開いた。
< 203 / 330 >

この作品をシェア

pagetop