壊れる世界と不死身の子
第2話〝恐怖〟

教室にいきなり現れた男。
男はどんどんこっちに近づいてくる。
「来るな!」
大声でそう言ったら。
「そんなに怯えないでよ。」
ニコッ
笑いかけてくる男。
シーン
静まる空気。
「‥‥あれ?効かないの?」
突然男がそう言った。
「‥え?あぁ。別に‥‥」
何も体調も悪くなってないけど‥‥
「どうしてだ。」
動揺している男。
よし、逃げよう‥‥
「あっ!ちょっ!」
タッタッタ
教室から、少し離れた図書館へと入る。
ここなら、隠れられるところが多いはず!
ガラー
図書室のドアを開ける。
ザワザワ
図書室のなかでは、人間(生徒)がたくさんいる。
意外な風景に呆然としていると
「大丈夫?」
後ろから声がした。
もう嫌だ、振り返りたくない‥‥。
「ねぇ、聞こえてないの?」
もう、いいや‥‥。
クルッ
「俺をどうする気だよ‥‥。」
振り返って、男と迎え合う。
「いや‥‥なんでかわからないけど、君‥‥‥‥能力効かないし‥‥‥。どうしようかな。」
能力?なにそれ‥‥‥
まぁ、そんなことよりも私は安心している。
「どうしたの、顔が緩んでるよ。」
「いや、面白くて‥‥お前は今、戦闘用に訓練された人間がたくさんいる中に1人でいるんだ、死ぬぞ。」
「あー、そういことね。」
ニコニコと笑う男。
なんで笑ってるんだよ‥‥、怖っ。
「じゃあ、試しに叫んでみてよ。助けてー、って。」
「はぁ?‥‥まぁ、好都合だけど‥‥。」
一度呼吸を落ち着かせて
「きゃー!誰か助けてーー!」
「ぷっ」
口を押さえて笑いを堪える男。
「なに笑って‥!笑っていられるのも今のうちだぞ。」
そう言った。
でも‥‥‥
「あれ?」
誰も来ない‥‥。
誰もこっちにすら気付いてない。
なんで‥‥
「なんで!」
「みんな、もういいよ。」
パンパン
そう男が手を叩く。
「何をしているんだ?」
じっとしていると
ビリッ
図書館にたくさんいる人たちが一斉に自分自身の顔を破る。
「ここにいる人たち‥‥みんな、人間じゃないからさ。」
「うそっだろ」
ピンチになったのは、俺の方だった。
「どうして、生きてるのその子。」
「あれ?かわいい子だね!」
「腕ほそっ‥‥、この子も戦闘用員?」
「まぁまぁ。楽しめたよー。」
「それがね、能力効かないんだ。」
男がそう言ってら3人と話し合っている。
今のうちに逃げよう。
サッ
タッタッタ
喋っていた4人の隙間を通って逃げる。
はぁはぁ。
よし、追いつかれてない。
逃げ切れ‥‥
「何?追いかけっこ?」
ニコニコと笑って余裕で追いかけてくる男。
「違う!追いかけてくるな!」
大声でそう言った。
怖いから‥‥‥、死ぬかもしれない。殺されるかも。
階段をもうダッシュで走る。
ツルッ
「あっ!」
落ちる‥‥!
タッ
ギュ
男は、俺を包み込むようにしてキャッチした。
「慌てるから落ちるんだよ。」
「なんで、そのまま放っておけば、死んだのに‥‥。」
「これぐらいじゃ死なないでしょ。」
「死ぬよ。俺弱いからさ。」
「ふーん、じゃあ、守ってあげるよ。死にたくないでしょ。」
「何それ‥‥冗談にも程が‥‥うっ!」
口を塞がれた。
「名前は?‥‥教えてよ。」
「名前‥‥なんで‥。」
「教えてよ。」
ニコッ
ゾワッ
怖い。
「名前は‥‥、倉崎緋色《くらさきひいろ》。」
「緋色‥‥か、緋色!僕のお嫁さんになってよ。」
意味がわからない。
「は?!ふざけんな!」
バッ
振り解く緋色。
「絶対嫌だ!」

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