捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 と、そのとき、廊下から泣き声が聞こえてきた。鳴のものだ。

(どうしたんだろう)

 鳴は比較的おとなしい子なのもあって、こんなふうに火がついたように泣くことはほとんどない。

 ただごとではないのを察し立ち上がったけれど、今の私はウエディングドレスのせいで容易に身動きが取れる状態ではなかった。

(涼さんはなにをしてるの?)

 ――また、いなくなってしまったのではないだろうか。

 あるはずのない予感を頭が勝手に思い浮かべて、私の体温をまた下げていく。

(行かなきゃ)

 三年前の私は違和感を覚えても待ち続けた。だけど今はもう待たない。

 外にいた涼さんが少し早めにウエディングドレスを見ることになってしまってもいい。私が求めているのは安心だ。

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