ウルルであなたとシャンパンを

思わずぶっきらぼうに言ってしまうと、ルカさんは取ってきたケーキの皿の片方を香耶の前へ置き、小さく謝罪を口にする。

「女性に年齢を訊くなんて失礼だよね、ごめん」

「言い出したのは私だから」

それもそうだね、と、茶化されて、睨むフリをすると、ルカさんはまあまあ、と香耶をなだめた後で不思議そうに言った。

「日本の人って、年齢を気にするよね」
「そうかな?オーストラリアは違うの?」
「違うと感じたね。会ってから数分で年齢を聞かれた時にはちょっと驚いたよ」
「あはは、そういう人いるかも」
「だよね」

フフッと笑って、カップを取り上げたルカさんは香耶の前に置かれたカップを目にすると、その微笑みをいたずらっぽいものに変えた。

「でも、そんなミルクたっぷりのコーヒー飲むのは、コドモだよね」
「知らなかったんだから、仕方ないでしょ」

コドモ、というルカさんの発音が慣れない英語のように聞こえるのを不思議な気持ちで聞きながら、香耶はミルクたっぷりのコーヒーを口にする。

フラットホワイト。

オーストラリアが発祥だとルカさんが教えてくれたコーヒーの、初めて聞いた名前が珍しくて注文してもらったけれど、どうやらこれは、ラテよりもミルクたっぷりの、ホットミルクに近い飲み物だったらしい。


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