ウルルであなたとシャンパンを

くしゃっとなってしまった用紙を開いて、賞状のように両手で渡すと、受付の女性はようやく眉間のしわをほどいて軽く2,3度うなずいた。

予約の用紙には、英語で書かれた部分があったから、そこを確認しているのだろう。

「It's a reservation(ご予約ですね)」

問いかけというより、確認の響きの声に頷くと、女性は香耶が渡した用紙を見ながら、カウンター下にあるらしいキーボードを操作し始めた。

よかった、これでチェックインは大丈夫そう……

その姿を、香耶は呆然とした気持ちで見ながら、不安がずっしりと肩にのしかかってくるのを感じた。

日本では、言葉のわからない人はごく一部で、見ればすぐ、外見で判別することができた。

けれど、ここでは、一見、日本人のように見える人も英語で話し、日本語がわからない、という反応をする。

これから、どうしたらいいんだろう……

泣きそうな気持になりながら、香耶は銀のトレイに乗せられたカードキーを受け取り、指さされたエレベーターに乗って、これからしばらくの住処となる部屋へと上って行った。


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