【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

25.鏡の離宮 1


 ザントの一件で、私はマレーネ姫の警護によく呼ばれるようになった。メイド姿はほとんどないが、騎士姿でもお声がかかる。
 姫に抱きつかれても抱き返さなかった事が、分をわきまえた距離感と評価され、侍女から推薦されているようだった。
 光栄なことだと思う。
 しかしお声がかかるたびに思うのだ。姫様のためにも、女騎士団が必要ではないかと。



「ねぇ! マレーネの婚約者になるって本当!!」

 朝からシュテルが煩い。ここは士官学校の学生寮、朝の食堂である。

 シュテルの問題発言に、みんなの視線が一斉に集まった。クラウトも顔を上げてこちらを見ている。
 私を女だと知っているフェルゼンですら、私をガン見している。
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