【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
話も出来ないので、とりあえず笑ってペコリとお辞儀をした。親切にありがとう、それくらいの意味だ。
すると、紳士は私の太ももに手をおいた。ビックリして、手を払う。
「本当に話せないんだね?」
ニヤリと笑われてゾッとする。慌てて立ち上がろうとしたら、腕をとられた。
なぎはらって良いものか、一瞬考える。ザントにとって、どんな立場の相手かわからない。
「声も出ないの?」
顔を覗きこまれる。息が近づいてきて気持ち悪い。最悪だ。
騎士姿だったら、間違いなく制圧してやるのに!
遠慮なく距離を詰めようとする相手の顔を押しやったら、その手もとられる。
「!!」
「そこで何をしている?」
静かに怒る声が響いて、紳士は硬直した。
見れば騎士姿のフェルゼンがいた。