【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
番外編

夕日に染まるムクゲの花(フェルゼン視点)


 今日はベルンと王宮に呼ばれている。ベルンは引き籠もり侯爵の末娘で、いつもは辺境の領地に住んでいて、王都にはめったに出てこない。
 俺たちは来年から幼年学校に入学する。そのためのに手続きでベルンは王都に来ているのだ。今年の夏はいつもより長めに王都に滞在できるらしい。
「フェルゼン、待ってたよ!」
 乗馬服姿のベルンが屋敷のドアから飛び出してきた。
「じゃ、行くぞ」
 俺はベルンの手を引っ張って、我が家の馬車に詰め込んだ。
 そうやって二人で王宮へ向かう。今日は王宮の森でシュテルと乗馬を楽しむことになっていた。
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