【web版】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(コミカライズ:男装令嬢が性別を隠して士官学校に入学したら、王子様と騎士様が執着してきます)

 湖畔の子供たちの声が響く。
 風が水面を撫でて波を起こす。
 ポチャリ、小さな音がして小さなブーメランが落ちて来た。
 湖の中ほどに、沈むことなく揺らめいている。
 何故だかその周りだけとても温かく感じるから不思議じゃった。

 きっと特別なものじゃろう。
 どれ、返してやろうかの。

 わらわはユラユラと立ち上がった。
 風が起こしたさざ波を、少し大きくしてやろう。
 時間はかかるかもしれないが、岸に流れ着くはずじゃ。

 と、その時じゃ。
 ピシリとわらわの頭上が嫌な音を立てた。
 わらわの大切な水面が、冷え冷えとして固くなる。
 美しい錦の揺らめきが動きを止める。
 いやじゃ、いやじゃ、わらわが波を起こしているのになぜ止める?
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