新米魔女はお嬢様!

盗みますわ!


+++

「さあ行きますわよ執事!!」
「勘弁してください」

入学式と晩ご飯の後、深夜零時を回った頃。
アナベルと執事は、例の″陰陽魚冠″が安置されている建物――めちゃくちゃデカいビルである――の裏口に佇んでいた。

目的はもちろん、陰陽魚冠をパクることである!

「本当に行くんですか? はぁ、天国のお母さまがどれだけ嘆かれるか……」
「ヒトの遺体など腐るか焼けるかして終わりですわ! 私無神論者ですの!!」

そう高らかに宣言しサクッと天井裏に侵入するアナベル!

陰陽魚冠ほどのお宝ともなれば、盗人への警戒やそれに関わる費用は世界を救えるレベルである。

しかし、アナベルの『陰陽魚冠がほしい』という欲求もまた、ハンパではなかった!!

「行きますわよーーーーッ!!!!(超小声)」

ゴーグルを装着し、カサカサカサ、みたいな擬音が似合いそうな動きで赤外線センサーを躱しまくるアナベル!
もちろん監視カメラもマイクも、ギリギリ死角になっているところをくぐり抜けている!


もうこれが天職としか思えない鮮やかさだった!!
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