これからアップしていくよ
「じゃあ雪姫、グラタンはまた今度ね」

校門を出てすぐ、車道に出た奏波は迎えの車に乗り込んだ。

「またね」

手を振って車が出るのを見送る。
これがいつもの光景。



「今日はまた違う車だったな」

佐藤が何気なく話し出す。

「この前のはどこのだった?」

空人が返事しながら佐藤の横に並び話しはじめた。


ドキリ。


狭い歩道を歩く私達4人。
前は佐藤と空人。
後ろを付いて行く私と嶋村くん。

嶋村くんは私の横を歩かず、微妙に斜め後ろを歩いてる。

そして私と嶋村くんの間に会話は無い。

そんな嶋村くんの気遣いが私にはありがたいのだ…。



「雪姫?どうした?」

気付くと空人が横にいた。
いつの間にか俯いていたらしい。

「…グラタン食べたくなっちゃった」

色気より食い気。
そう思われたくてわざとグラタンと言った。

「店を教えてくれるなら今から行くのに」

「ダメだよ。奏波のお気に入りのお店だから。勝手に教えられないよ」

いつの間にか、嶋村くんが前にいて佐藤の横を歩いてる。


「奏波嬢の行きつけ?値段高そうじゃね?」

歩きながら佐藤が会話に入ってくるけどこれもいつものこと。

「私がそんな高いお店に行けるわけないじゃん。目立たない普通の喫茶店だよ。」

他愛もない会話を続けながら歩く帰り道。


いつもは空人と二人で帰ることが多いけど、たまに佐藤も合流する。
小学校のときからずっとこんな感じ。


嶋村くんだけは高校から一緒になった。

佐藤と1年の時同じクラスで仲良くなった嶋村くん。

私は別のクラスだったから1年の時は一人で帰る事が多かったけど、たまに佐藤に声かけられて何度かこうして帰ったりした。


佐藤に
『こいつ嶋村。同じクラスになった奴』
と紹介されたとき
『知ってる。斎藤でしょ。お前がよく話す海人って奴の幼馴染み』

そう言って私が嶋村くんに話しかけないように言葉を選んでくれる。



そう思ってるのは私だけかもしれないけど。



嶋村くんはもう私と話したくないのかもしれないけど。



私が嶋村くんを避けてるのを、嶋村くんはきっと知ってるから。




「良いな〜。雪姫の好きなグラタン食べてみたいなぁ〜」

「グラタンなんてそんなに味変わらなくね?」

「佐藤はコンビニと喫茶店のグラタンが同じなんだね」

冷やかすように言ったら変に飛び火した。



「俺は嶋村ほど味オンチじゃねぇよ」

「なんで俺が味オンチなんだよ」

二人が話し出した時。


「…え?…あれ?……嶋村、先輩?」


嶋村くんを指差して空人が吃驚したような顔をしてた。



空人の言葉に、私と佐藤と嶋村くんが立ち止まる。

「…何?ってか、"先輩"いらないけど」

嶋村くんが聞き返す。


「え?空人、嶋村と何かあんの?」

佐藤も気になって空人に聞く。
確かに空人と嶋村くんは接点が無さそうだし気になる。


「あ、違う。今気付いたから。先輩の名前が"嶋村"ってことに」

慌てて空人が釈明した。


「……?」
どういうことだ?

「だから〜、佐藤と雪姫のクラスメイトなのは知ってたけど、顔だけで名前まで知らなかったんだよ〜」


「あ〜なるほど〜。って、今、何月だよお前」

「9月だよ!佐藤が嶋村先輩のこと名前で呼ばないからだろっ!」

「俺のせいか?お前が嶋村に聞けばいいだろ?」

何故かムキになる空人と佐藤。
「じゃあ雪姫、グラタンはまた今度ね」

校門を出てすぐ、車道に出た奏波は迎えの車に乗り込んだ。

「またね」

手を振って車が出るのを見送る。
これがいつもの光景。



「今日はまた違う車だったな」

佐藤が何気なく話し出す。

「この前のはどこのだった?」

空人が返事しながら佐藤の横に並び話しはじめた。


ドキリ。


狭い歩道を歩く私達4人。
前は佐藤と空人。
後ろを付いて行く私と嶋村くん。

嶋村くんは私の横を歩かず、微妙に斜め後ろを歩いてる。

そして私と嶋村くんの間に会話は無い。

そんな嶋村くんの気遣いが私にはありがたいのだ…。



「雪姫?どうした?」

気付くと空人が横にいた。
いつの間にか俯いていたらしい。

「…グラタン食べたくなっちゃった」

色気より食い気。
そう思われたくてわざとグラタンと言った。

「店を教えてくれるなら今から行くのに」

「ダメだよ。奏波のお気に入りのお店だから。勝手に教えられないよ」

いつの間にか、嶋村くんが前にいて佐藤の横を歩いてる。


「奏波嬢の行きつけ?値段高そうじゃね?」

歩きながら佐藤が会話に入ってくるけどこれもいつものこと。

「私がそんな高いお店に行けるわけないじゃん。目立たない普通の喫茶店だよ。」

他愛もない会話を続けながら歩く帰り道。


いつもは空人と二人で帰ることが多いけど、たまに佐藤も合流する。
小学校のときからずっとこんな感じ。


嶋村くんだけは高校から一緒になった。

佐藤と1年の時同じクラスで仲良くなった嶋村くん。

私は別のクラスだったから1年の時は一人で帰る事が多かったけど、たまに佐藤に声かけられて何度かこうして帰ったりした。


佐藤に
『こいつ嶋村。同じクラスになった奴』
と紹介されたとき
『知ってる。斎藤でしょ。お前がよく話す海人って奴の幼馴染み』

そう言って私が嶋村くんに話しかけないように言葉を選んでくれる。



そう思ってるのは私だけかもしれないけど。



嶋村くんはもう私と話したくないのかもしれないけど。



私が嶋村くんを避けてるのを、嶋村くんはきっと知ってるから。




「良いな〜。雪姫の好きなグラタン食べてみたいなぁ〜」

「グラタンなんてそんなに味変わらなくね?」

「佐藤はコンビニと喫茶店のグラタンが同じなんだね」

冷やかすように言ったら変に飛び火した。



「俺は嶋村ほど味オンチじゃねぇよ」

「なんで俺が味オンチなんだよ」

二人が話し出した時。


「…え?…あれ?……嶋村、先輩?」


嶋村くんを指差して空人が吃驚したような顔をしてた。



空人の言葉に、私と佐藤と嶋村くんが立ち止まる。

「…何?ってか、"先輩"いらないけど」

嶋村くんが聞き返す。


「え?空人、嶋村と何かあんの?」

佐藤も気になって空人に聞く。
確かに空人と嶋村くんは接点が無さそうだし気になる。


「あ、違う。今気付いたから。先輩の名前が"嶋村"ってことに」

慌てて空人が釈明した。


「……?」
どういうことだ?

「だから〜、佐藤と雪姫のクラスメイトなのは知ってたけど、顔だけで名前まで知らなかったんだよ〜」


「あ〜なるほど〜。って、今、何月だよお前」

「9月だよ!佐藤が嶋村先輩のこと名前で呼ばないからだろっ!」

「俺のせいか?お前が嶋村に聞けばいいだろ?」

何故かムキになる空人と佐藤。


「いや、俺と空人は全然話さないからな。知らなくてもしょうが無いだろ」

なんだ、そんなことかと言うように、嶋村くんが呆れてる。


確かに空人が入学して私と二人で帰るようになってからは、今日みたいに4人で帰ったのは数回しかない。

一緒にいても嶋村くんが静かに会話を聞いてた感じだったな。


でも、佐藤と空人と嶋村くんが言い合うこの光景が見ていて楽しかった。


「じゃあ雪姫、グラタンはまた今度ね」

校門を出てすぐ、車道に出た奏波は迎えの車に乗り込んだ。

「またね」

手を振って車が出るのを見送る。
これがいつもの光景。



「今日はまた違う車だったな」

佐藤が何気なく話し出す。

「この前のはどこのだった?」

空人が返事しながら佐藤の横に並び話しはじめた。


ドキリ。


狭い歩道を歩く私達4人。
前は佐藤と空人。
後ろを付いて行く私と嶋村くん。

嶋村くんは私の横を歩かず、微妙に斜め後ろを歩いてる。

そして私と嶋村くんの間に会話は無い。

そんな嶋村くんの気遣いが私にはありがたいのだ…。



「雪姫?どうした?」

気付くと空人が横にいた。
いつの間にか俯いていたらしい。

「…グラタン食べたくなっちゃった」

色気より食い気。
そう思われたくてわざとグラタンと言った。

「店を教えてくれるなら今から行くのに」

「ダメだよ。奏波のお気に入りのお店だから。勝手に教えられないよ」

いつの間にか、嶋村くんが前にいて佐藤の横を歩いてる。


「奏波嬢の行きつけ?値段高そうじゃね?」

歩きながら佐藤が会話に入ってくるけどこれもいつものこと。

「私がそんな高いお店に行けるわけないじゃん。目立たない普通の喫茶店だよ。」

他愛もない会話を続けながら歩く帰り道。


いつもは空人と二人で帰ることが多いけど、たまに佐藤も合流する。
小学校のときからずっとこんな感じ。


嶋村くんだけは高校から一緒になった。

佐藤と1年の時同じクラスで仲良くなった嶋村くん。

私は別のクラスだったから1年の時は一人で帰る事が多かったけど、たまに佐藤に声かけられて何度かこうして帰ったりした。


佐藤に
『こいつ嶋村。同じクラスになった奴』
と紹介されたとき
『知ってる。斎藤でしょ。お前がよく話す海人って奴の幼馴染み』

そう言って私が嶋村くんに話しかけないように言葉を選んでくれる。



そう思ってるのは私だけかもしれないけど。



嶋村くんはもう私と話したくないのかもしれないけど。



私が嶋村くんを避けてるのを、嶋村くんはきっと知ってるから。




「良いな〜。雪姫の好きなグラタン食べてみたいなぁ〜」

「グラタンなんてそんなに味変わらなくね?」

「佐藤はコンビニと喫茶店のグラタンが同じなんだね」

冷やかすように言ったら変に飛び火した。



「俺は嶋村ほど味オンチじゃねぇよ」

「なんで俺が味オンチなんだよ」

二人が話し出した時。


「…え?…あれ?……嶋村、先輩?」


嶋村くんを指差して空人が吃驚したような顔をしてた。



空人の言葉に、私と佐藤と嶋村くんが立ち止まる。

「…何?ってか、"先輩"いらないけど」

嶋村くんが聞き返す。


「え?空人、嶋村と何かあんの?」

佐藤も気になって空人に聞く。
確かに空人と嶋村くんは接点が無さそうだし気になる。


「あ、違う。今気付いたから。先輩の名前が"嶋村"ってことに」

慌てて空人が釈明した。


「……?」
どういうことだ?

「だから〜、佐藤と雪姫のクラスメイトなのは知ってたけど、顔だけで名前まで知らなかったんだよ〜」


「あ〜なるほど〜。って、今、何月だよお前」

「9月だよ!佐藤が嶋村先輩のこと名前で呼ばないからだろっ!」

「俺のせいか?お前が嶋村に聞けばいいだろ?」

何故かムキになる空人と佐藤。


「いや、俺と空人は全然話さないからな。知らなくてもしょうが無いだろ」

なんだ、そんなことかと言うように、嶋村くんが呆れてる。


確かに空人が入学して私と二人で帰るようになってからは、今日みたいに4人で帰ったのは数回しかない。

一緒にいても嶋村くんが静かに会話を聞いてた感じだったな。


でも、佐藤と空人と嶋村くんが言い合うこの光景が見ていて楽しかった。

「じゃあ雪姫、グラタンはまた今度ね」

校門を出てすぐ、車道に出た奏波は迎えの車に乗り込んだ。

「またね」

手を振って車が出るのを見送る。
これがいつもの光景。



「今日はまた違う車だったな」

佐藤が何気なく話し出す。

「この前のはどこのだった?」

空人が返事しながら佐藤の横に並び話しはじめた。


ドキリ。


狭い歩道を歩く私達4人。
前は佐藤と空人。
後ろを付いて行く私と嶋村くん。

嶋村くんは私の横を歩かず、微妙に斜め後ろを歩いてる。

そして私と嶋村くんの間に会話は無い。

そんな嶋村くんの気遣いが私にはありがたいのだ…。



「雪姫?どうした?」

気付くと空人が横にいた。
いつの間にか俯いていたらしい。

「…グラタン食べたくなっちゃった」

色気より食い気。
そう思われたくてわざとグラタンと言った。

「店を教えてくれるなら今から行くのに」

「ダメだよ。奏波のお気に入りのお店だから。勝手に教えられないよ」

いつの間にか、嶋村くんが前にいて佐藤の横を歩いてる。


「奏波嬢の行きつけ?値段高そうじゃね?」

歩きながら佐藤が会話に入ってくるけどこれもいつものこと。

「私がそんな高いお店に行けるわけないじゃん。目立たない普通の喫茶店だよ。」

他愛もない会話を続けながら歩く帰り道。


いつもは空人と二人で帰ることが多いけど、たまに佐藤も合流する。
小学校のときからずっとこんな感じ。


嶋村くんだけは高校から一緒になった。

佐藤と1年の時同じクラスで仲良くなった嶋村くん。

私は別のクラスだったから1年の時は一人で帰る事が多かったけど、たまに佐藤に声かけられて何度かこうして帰ったりした。


佐藤に
『こいつ嶋村。同じクラスになった奴』
と紹介されたとき
『知ってる。斎藤でしょ。お前がよく話す海人って奴の幼馴染み』

そう言って私が嶋村くんに話しかけないように言葉を選んでくれる。



そう思ってるのは私だけかもしれないけど。



嶋村くんはもう私と話したくないのかもしれないけど。



私が嶋村くんを避けてるのを、嶋村くんはきっと知ってるから。




「良いな〜。雪姫の好きなグラタン食べてみたいなぁ〜」

「グラタンなんてそんなに味変わらなくね?」

「佐藤はコンビニと喫茶店のグラタンが同じなんだね」

冷やかすように言ったら変に飛び火した。



「俺は嶋村ほど味オンチじゃねぇよ」

「なんで俺が味オンチなんだよ」

二人が話し出した時。


「…え?…あれ?……嶋村、先輩?」


嶋村くんを指差して空人が吃驚したような顔をしてた。



空人の言葉に、私と佐藤と嶋村くんが立ち止まる。

「…何?ってか、"先輩"いらないけど」

嶋村くんが聞き返す。


「え?空人、嶋村と何かあんの?」

佐藤も気になって空人に聞く。
確かに空人と嶋村くんは接点が無さそうだし気になる。


「あ、違う。今気付いたから。先輩の名前が"嶋村"ってことに」

慌てて空人が釈明した。


「……?」
どういうことだ?

「だから〜、佐藤と雪姫のクラスメイトなのは知ってたけど、顔だけで名前まで知らなかったんだよ〜」


「あ〜なるほど〜。って、今、何月だよお前」

「9月だよ!佐藤が嶋村先輩のこと名前で呼ばないからだろっ!」

「俺のせいか?お前が嶋村に聞けばいいだろ?」

何故かムキになる空人と佐藤。


「いや、俺と空人は全然話さないからな。知らなくてもしょうが無いだろ」

なんだ、そんなことかと言うように、嶋村くんが呆れてる。


確かに空人が入学して私と二人で帰るようになってからは、今日みたいに4人で帰ったのは数回しかない。

一緒にいても嶋村くんが静かに会話を聞いてた感じだったな。


でも、佐藤と空人と嶋村くんが言い合うこの光景が見ていて楽しかった。

「じゃあ雪姫、グラタンはまた今度ね」

校門を出てすぐ、車道に出た奏波は迎えの車に乗り込んだ。

「またね」

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これがいつもの光景。



「今日はまた違う車だったな」

佐藤が何気なく話し出す。

「この前のはどこのだった?」

空人が返事しながら佐藤の横に並び話しはじめた。


ドキリ。


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前は佐藤と空人。
後ろを付いて行く私と嶋村くん。

嶋村くんは私の横を歩かず、微妙に斜め後ろを歩いてる。

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そんな嶋村くんの気遣いが私にはありがたいのだ…。



「雪姫?どうした?」

気付くと空人が横にいた。
いつの間にか俯いていたらしい。

「…グラタン食べたくなっちゃった」

色気より食い気。
そう思われたくてわざとグラタンと言った。

「店を教えてくれるなら今から行くのに」

「ダメだよ。奏波のお気に入りのお店だから。勝手に教えられないよ」

いつの間にか、嶋村くんが前にいて佐藤の横を歩いてる。


「奏波嬢の行きつけ?値段高そうじゃね?」

歩きながら佐藤が会話に入ってくるけどこれもいつものこと。

「私がそんな高いお店に行けるわけないじゃん。目立たない普通の喫茶店だよ。」

他愛もない会話を続けながら歩く帰り道。


いつもは空人と二人で帰ることが多いけど、たまに佐藤も合流する。
小学校のときからずっとこんな感じ。


嶋村くんだけは高校から一緒になった。

佐藤と1年の時同じクラスで仲良くなった嶋村くん。

私は別のクラスだったから1年の時は一人で帰る事が多かったけど、たまに佐藤に声かけられて何度かこうして帰ったりした。


佐藤に
『こいつ嶋村。同じクラスになった奴』
と紹介されたとき
『知ってる。斎藤でしょ。お前がよく話す海人って奴の幼馴染み』

そう言って私が嶋村くんに話しかけないように言葉を選んでくれる。



そう思ってるのは私だけかもしれないけど。



嶋村くんはもう私と話したくないのかもしれないけど。



私が嶋村くんを避けてるのを、嶋村くんはきっと知ってるから。




「良いな〜。雪姫の好きなグラタン食べてみたいなぁ〜」

「グラタンなんてそんなに味変わらなくね?」

「佐藤はコンビニと喫茶店のグラタンが同じなんだね」

冷やかすように言ったら変に飛び火した。



「俺は嶋村ほど味オンチじゃねぇよ」

「なんで俺が味オンチなんだよ」

二人が話し出した時。


「…え?…あれ?……嶋村、先輩?」


嶋村くんを指差して空人が吃驚したような顔をしてた。



空人の言葉に、私と佐藤と嶋村くんが立ち止まる。

「…何?ってか、"先輩"いらないけど」

嶋村くんが聞き返す。


「え?空人、嶋村と何かあんの?」

佐藤も気になって空人に聞く。
確かに空人と嶋村くんは接点が無さそうだし気になる。


「あ、違う。今気付いたから。先輩の名前が"嶋村"ってことに」

慌てて空人が釈明した。


「……?」
どういうことだ?

「だから〜、佐藤と雪姫のクラスメイトなのは知ってたけど、顔だけで名前まで知らなかったんだよ〜」


「あ〜なるほど〜。って、今、何月だよお前」

「9月だよ!佐藤が嶋村先輩のこと名前で呼ばないからだろっ!」

「俺のせいか?お前が嶋村に聞けばいいだろ?」

何故かムキになる空人と佐藤。


「いや、俺と空人は全然話さないからな。知らなくてもしょうが無いだろ」

なんだ、そんなことかと言うように、嶋村くんが呆れてる。


確かに空人が入学して私と二人で帰るようになってからは、今日みたいに4人で帰ったのは数回しかない。

一緒にいても嶋村くんが静かに会話を聞いてた感じだったな。


でも、佐藤と空人と嶋村くんが言い合うこの光景が見ていて楽しかった。

「じゃあ雪姫、グラタンはまた今度ね」

校門を出てすぐ、車道に出た奏波は迎えの車に乗り込んだ。

「またね」

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佐藤が何気なく話し出す。

「この前のはどこのだった?」

空人が返事しながら佐藤の横に並び話しはじめた。


ドキリ。


狭い歩道を歩く私達4人。
前は佐藤と空人。
後ろを付いて行く私と嶋村くん。

嶋村くんは私の横を歩かず、微妙に斜め後ろを歩いてる。

そして私と嶋村くんの間に会話は無い。

そんな嶋村くんの気遣いが私にはありがたいのだ…。



「雪姫?どうした?」

気付くと空人が横にいた。
いつの間にか俯いていたらしい。

「…グラタン食べたくなっちゃった」

色気より食い気。
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「店を教えてくれるなら今から行くのに」

「ダメだよ。奏波のお気に入りのお店だから。勝手に教えられないよ」

いつの間にか、嶋村くんが前にいて佐藤の横を歩いてる。


「奏波嬢の行きつけ?値段高そうじゃね?」

歩きながら佐藤が会話に入ってくるけどこれもいつものこと。

「私がそんな高いお店に行けるわけないじゃん。目立たない普通の喫茶店だよ。」

他愛もない会話を続けながら歩く帰り道。


いつもは空人と二人で帰ることが多いけど、たまに佐藤も合流する。
小学校のときからずっとこんな感じ。


嶋村くんだけは高校から一緒になった。

佐藤と1年の時同じクラスで仲良くなった嶋村くん。

私は別のクラスだったから1年の時は一人で帰る事が多かったけど、たまに佐藤に声かけられて何度かこうして帰ったりした。


佐藤に
『こいつ嶋村。同じクラスになった奴』
と紹介されたとき
『知ってる。斎藤でしょ。お前がよく話す海人って奴の幼馴染み』

そう言って私が嶋村くんに話しかけないように言葉を選んでくれる。



そう思ってるのは私だけかもしれないけど。



嶋村くんはもう私と話したくないのかもしれないけど。



私が嶋村くんを避けてるのを、嶋村くんはきっと知ってるから。




「良いな〜。雪姫の好きなグラタン食べてみたいなぁ〜」

「グラタンなんてそんなに味変わらなくね?」

「佐藤はコンビニと喫茶店のグラタンが同じなんだね」

冷やかすように言ったら変に飛び火した。



「俺は嶋村ほど味オンチじゃねぇよ」

「なんで俺が味オンチなんだよ」

二人が話し出した時。


「…え?…あれ?……嶋村、先輩?」


嶋村くんを指差して空人が吃驚したような顔をしてた。



空人の言葉に、私と佐藤と嶋村くんが立ち止まる。

「…何?ってか、"先輩"いらないけど」

嶋村くんが聞き返す。


「え?空人、嶋村と何かあんの?」

佐藤も気になって空人に聞く。
確かに空人と嶋村くんは接点が無さそうだし気になる。


「あ、違う。今気付いたから。先輩の名前が"嶋村"ってことに」

慌てて空人が釈明した。


「……?」
どういうことだ?

「だから〜、佐藤と雪姫のクラスメイトなのは知ってたけど、顔だけで名前まで知らなかったんだよ〜」


「あ〜なるほど〜。って、今、何月だよお前」

「9月だよ!佐藤が嶋村先輩のこと名前で呼ばないからだろっ!」

「俺のせいか?お前が嶋村に聞けばいいだろ?」

何故かムキになる空人と佐藤。


「いや、俺と空人は全然話さないからな。知らなくてもしょうが無いだろ」

なんだ、そんなことかと言うように、嶋村くんが呆れてる。


確かに空人が入学して私と二人で帰るようになってからは、今日みたいに4人で帰ったのは数回しかない。

一緒にいても嶋村くんが静かに会話を聞いてた感じだったな。


でも、佐藤と空人と嶋村くんが言い合うこの光景が見ていて楽しかった。


「いや、俺と空人は全然話さないからな。知らなくてもしょうが無いだろ」
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