ロマンティシズム
「買い物があるんだ」

「お買い物」

 常のことだが声は遠い。
身長差を考慮して、屈んでくれるような瀬戸ではないのだ。

ガッコウの廊下でならまだしも、賑やかな街中でそれは厳しい。

あぁ、もっとヒールのある靴履いてきたら良かった! 

と思ったところで予想外、先生のお顔がくるりとこちらを向いた。


「手伝うか? ヒロセ」


 ちゃんと聴こえた声に、がくがくと。

首が取れるんじゃないかの勢いで雪野は何度も頷いた。





< 12 / 77 >

この作品をシェア

pagetop