ハナヒノユメ
「ごめんね。
きっと、ずっと話しかけてくれてたよね。」

「大丈夫です...。」

「今は、意識が別のところにあって。
夢を見てるんだと思うけど。」

「夢...?」

「頭、ぶつけておかしくなっちゃったんだろうね。
やっと話せるけど、動けない。」

...いい夢じゃないっていうのは分かる。

何が見えてるんだろう。

「たまにでいいよ。
たまに、こうして様子を見に来てほしいんだ。調子が良ければ分かることもあるから。」

「はい。」

「前の日かな。来てくれたことも分かったし。その前もやっぱり...。」

「はい...。」

「だから、もう何も怖くない。」

...。

石井先輩のことは、きかないのかな...。

それに、誰がいるか分からない、

誰もいない...?

そういう夢を見て、やっぱり怖いはずだ。

なのに、今までずっと静かにしてて、

騒いだり暴れたりしなかった。

この人は...

すごく強い人なんだ。

誰かが絶対側にいるって分かってるから。

迷惑かけないように頑張ってる。
< 35 / 100 >

この作品をシェア

pagetop