何様のつもり?
「は、離して」

蓮翔の胸を強く押した。

「何で?」

「からかうのならもうやめて」

「からかってなければ?これからも抱きしめていいってことか?」

ニヤッと笑った蓮翔。やっぱりからかってる。

「もう、じゃぁ正直に言う。私はずっと蓮翔が好きだったの。高校の時からずっと……この気持ちだけは、からかわれたくなかった。私が蓮翔を好きなんて、蓮翔には有り得ないんでしょ?だから気持ちを知られたくなくて隠してたの。でもあの文化祭の時、私に聞いたでしょ?俺の事好きなの?って」

「あぁ、聞いた」

「だから、あの時、蓮翔と離れる決意をしたの。私のことずっと覚えてて欲しくてキスしたの。でも蓮翔は、苦しんでたんでしょ?思い出したくないくらい嫌だったんでしょ?だからもう忘れて。私に仕返しもしたし、満足でしょ?だからこういうことはもうしないで。さっきわかったって言ったけど、お互いにそばにいたらよくないよ。
私も忘れる。蓮翔のこと。だから蓮翔
も私のこと忘れてっ」

「忘れさせるかっ」

「んんっ、」

いきなり激しいキスをしてきた。
なのに、優しくて、私の上唇を軽く唇で挟んだり、舌で私の口内を舐め回したり、ジックリ味わうから、ドンドンとろけてしまう。
痺れて力が入らない……蓮翔に身体を委ねた。

「秋帆……愛してる」

「れ、蓮翔っ」

また、キスを重ねる。本当に?本当に私を愛してくれるの?そう聞きたいのに、蓮翔の唇が私の唇を塞ぐから……今は蓮翔をたくさん味わいたい。高校のときからの思いをやっと伝えただけで満足なのに。この展開は何?私は蓮翔のキスに溺れた。


「秋帆……」

「……」

恥ずかしすぎて蓮翔をちゃんと見れない。

「こっち向けよ」

「やっ、やだ。恥ずかしい」

なのに、蓮翔が頬に手を当てて無理やり向かせた。

「もう、お前を失いたくないからはっきり言う。俺は秋帆が好きだ。だから付き合ってほしい……」

「ほっ、本当に?からかってない?」

「お前なぁ……。俺ってそんなに信用ないの?」

拗ねた顔があまりにも可愛くてキュンとしてしまった。

「だって、信じられないよ。あの蓮翔だよ。私のことなんて、ずっと好きじゃないって思ってたから……」

「俺ほど、わかりやすい奴いないと思うよ?」

私を覗き込みながら言うから、照れてしまった。

「可愛い……」

「れ、蓮翔ってそんなこと言う人じゃなかったよね?」

「これからは思ってることはっきり言うことにしたから。そうじゃないと秋帆にわかってもらえないから」

「私ってそんなに鈍感?」

「あぁ、とっても」

優しくキスをする蓮翔。もう甘すぎだから。私大丈夫かな?


< 17 / 36 >

この作品をシェア

pagetop