冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
 

「今、あなたの話をしていたのよ」

「リ、リリー様!」

「ふふっ。ロニーは、あなたのことを心から尊敬しているって。それを聞いて私は、あなたのことを、もっともっと好きになったわ」


 リリーがそう言って花が開いたように笑うと、リアムの頬には隠し切れない赤がさした。


「おとーたま! おねつ?」

「……っ、」

「ふふっ、違うのよ、オリビア。お父様はね、ちょっと照れているだけなの」

「てれてる?」


 リリーの言葉に、リアムは小さく舌を打つ。

 さすがのリアムもオリビアとロニーのいる前では、リリーに甘い報復をすることはできないようだった。

 リアムはリリーに、「あとで覚えていろよ」と口の動きだけで伝えると、再びオリビアを連れて庭の中心へと消えていった。

 そんな彼の背中を見送りながら、リリーは太陽を見つめるように、眩しそうに目を細めた。



 ✽ ✽ ✽



「リリー、昼間のことは覚えているだろうな」


 その晩、オリビアがすっかりと眠った頃に、任務を終えて帰ってきたリアムがリリーをソファに追い詰めた。

 薄いナイトドレスを着たリリーは「なんのこと?」としらを切ろうとしてみたが、当然、リアムが許してくれるはずもない。


「オリビアはグッスリ眠っているし、きみが大きな声さえ出さなければ起きることもないだろう」

「ん……っ」


 言いながらリアムは騎士団のコートを脱ぐと、リリーを抱きかかえて自身の膝を跨ぐように向かい合わせで座らせた。

 
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