冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「リアム様を怒らせた罰に腕立て五百回って、騎士団のあるあるなんですよっ」
へへっと快活な笑顔を見せるダスターは、リアムとそう年は変わらないように見えるが、とても表情豊かな男だった。
厳格な騎士団の隊員というわりには人懐っこく、裏表のなさそうな様子が好印象を与え、自然とリリーの警戒心も解けていく。
「ふふっ。ダスターは、とても面白い人ね」
「そうっすか? でも、よく言われます!」
「リアムも……あなたくらい愛想もあって、わかりやすければ助かるのに」
「へ?」
リリーの言葉に、ダスターは動きを止めて目を丸くした。
「私は……あの人が、どうしてここへ私たちを連れてきたのかも、さっぱりわからないままなの。私たちを一体どうするつもりなのか……あの人の考えていることは、理解できないことだらけよ」
そう言うとリリーは、困ったような笑みを浮かべた。
そんなリリーを前にダスターは一瞬キョトンとしたあとで、すぐに我に返ると頭がもげるのではないかという勢いで、ブンブンと首を左右に何度も振った。
「た、確かにリアム様はいつも仏頂面ですけど……って、いけね。え、えっと。わかりにくい面のあるお方ですが! でも、ここ数日はめちゃくちゃわかりやすくて、事情を知らない騎士団の隊員たちは、何があったのかとソワソワしているくらいなんですよ!」
「え……?」
「もうね、いつも冷静沈着なリアム様が、リリー様とオリビア様のことになると平常心ではいられないってことです! って、こんなことバラしたら怒られそうだけど、とにかくあんなふうに頭を悩ませているリアム様は、俺たちもこれまで一度も見たことないんですよ!」
そのダスターの言葉を聞いたリリーは、言葉を失くした石像のように固まった。
(リアムが、私とオリビアのことになると平常心ではいられない?)
リリーからすれば寧ろ、人質として利用するために、冷静な対処をしていると見えていたのに。