モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…

「なんか いいなぁ。私も 普通の恋が したくなっちゃった。」

綾乃の言葉に 私は ハッとした。

切ない目で 微笑む綾乃。


「うん…」

「私 クラス会の時 西野に 送ってもらったじゃない?車の中で 西野と話したら なんか 福原さんとのこと 嫌になっちゃって。」

福原さんは 綾乃の 不倫相手。


「綾乃 西野に 言っちゃったの?」

「うん。西野と 子供の話しして。ほら チャイルドシート 付いてたから。子供って 可愛い?とか そういう話しになって。」

「うん。」

「可愛いとかの レベルじゃないって。西野 言うの。自分の一部みたいだって。だから 責任も感じるし。むしろ 怖いって。」

「へぇ。西野 すごくいい男に なったねぇ。」


「私 福原さんのこと 怖いくらい 好きじゃないし。多分 福原さんも。そういう存在が いる人と 一緒にいる私って なんなのかなって。」

「……」

「結局 遊びじゃない?私も そのつもりだったから。別にいいやって 思っていたけど。例えば 奥さんに バレた時 福原さん どんな言い訳するのかなとか 考えたら。なんか バカバカしくなっちゃって。」

「私は 綾乃が 傷付く前に 止めてほしい。もし奥さんに バレたら 失うものが 大き過ぎるから。」

「福原さん 最初から 家庭を壊すつもりはないって 言っていたでしょ?だから 奥さんに バレても 私には 関係ないって 思っていたの。私も 別に 離婚を望んでいるわけじゃないし。」

「実際バレたら 知らないじゃ 済まないよ?」

「うん。西野も そう言ってた。」

「仕事 辞めることになったり。慰謝料 請求されたりすることも あるらしいよ。」


「一番 悪いのは 福原さんだって。でも 家族がいること 知ってて 付き合ってる 私の責任も 大きいって 西野に言われた。」

「へぇ。西野って そんなこと 言うんだ…」

「私 心のどこかで 奥さんも 悪いって思っていたの。福原さんを ちゃんと 繋ぎ留めておかないから 浮気されるんだって。でもね。それは 違うって。乗ってくる女が いるから 男は 浮気するんだって。西野に言われて 私 ガツンときたねぇ。」


私は 綾乃の言葉に 小さく頷くしか できなかった。






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