モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…

「私も 心機一転。今度は みんなに 紹介できる恋人を 探そう。」

綾乃が 不倫していたことを 

誠には 話していなかったのに。


私は 驚いて 綾乃を見つめる。

「ちょっと。綾乃。」

「えっ?渚 誠に 話してないの?」

「話すわけないでしょう。」

「やだ。話していいのに。」


私と綾乃の会話を 誠は 不思議そうに 聞いていた。


「あのね。私 前の職場の上司と 不倫してたの。でも やっと別れる決心 できたから。仕事も変えて。引っ越ししたんだぁ。」

綾乃は 明るく 誠に話す。

「へぇ。そうだったんだ。色々 あるよね。この年になると。」

誠は 綾乃の不倫を 責めるでもなく。

不倫を 止めたことを 褒めるでもなく。


誠の反応が 意外で 私と綾乃は 顔を見合わせた。

「誠って いい奴だね…」

綾乃が ポロっと 言った後で

「綾乃 好きにならないでね。」

私は 少し拗ねた顔で 綾乃を見た。


「ハハハッ。」と声を出して 笑う誠。

呆れた顔で 「はいはい。」という綾乃。


誠に 愛おし気に 見つめられて。

私は 小さく 肩をすくめた。






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