破 恋

・・千里1️⃣


その日は、営業部の飲み会だった。

営業目標達成を祝う飲み会だ。
俺は、営業部のエースと言われて
浮かれていた。
その上、
社内でも一番美しいと言われる
莉子が彼女の上
結婚を控えていて
回りから幸運を手にした男なんて
羨望の眼差しで見られ
有頂天になっていたのは
間違いない

俺は、かなり飲まされて
いつになく酔っていた。

良く俺の事務をやってくれる
桜田もかなり飲んでいたみたいで

同じ方向と言うこともあり
課長にタクシーで送ってやれ
と、言われて
俺はこのまま莉子のとこに行くつもり
だったのに·····
課長にも良い顔をしていたかったのか
桜田とタクシーに乗り込む

ほどよい揺れと飲んだ事で
寝てしまった俺が目を覚ますと
裸の俺と横にこれまた裸の桜田が
寝ていた。

体に多少の気だるさがある
えっ、抱いたのか?
どうして?
俺は、慌てて服を着て
玄関から転がるように外に出た

ここは、一体どこだ?
と、回りを見回すと
だんだんと地形がわかってきて
タクシーをとめて
乗り込み自宅に戻った。

それからシャワーを浴びながら
俺は····なんて····事を·····
莉子を失うかもしれない怖さに
体はふるえていた

真実を離さないと
いや、黙っていたら
そんな気持ちがわいていた。

その日は一日外回りをして
桜田をさけた。

三時を過ぎた時に
携帯を開いてみる時間ができ
莉子からのLINEに気づいた
ドキドキしながら
見ると
食事の誘いだったから
待ち合わせをした
普通でいよう、普通で·····

だが·····注文してすぐに
「桜田さんって知っている?」
と莉子に訊かれて
驚いた、正直、なんだ?と思っていると
桜田が、わざわざ莉子に
俺のあの日の行動を話した?
俺の頭の中は、真っ白になっていく
手は、ガタガタとふるえ·····
だが、謝れ、謝れ、
別の所から聞こえる

ハッと、しながら謝る。

抱いたのかと
訊かれて、正直きちんと
わかっていなかったが
謝るしかなかった。

どうであれ、あいつ桜田の部屋に
泊まった上、裸だったのだから。

すると莉子から
プロポーズの時に
嵌めた指輪を返された。

手を後ろに隠し取る意思のないことを
見せたが莉子から片手を取られて
その手にのせられてしまった。

俺は····なんて······事を
膝から崩れて
しばらく···その場から···動けなかった。

そんな俺に道いく人が
大丈夫ですか、と声をかけていく
こんなバカなどうしょうもない
俺に······

俺は、何とか立ち上がり
莉子のマンションの前に行くが
莉子の部屋に明かりがついているのを
見て自分のマンションに帰った。

それから何度も莉子に電話して
LINEして、メールもした。

もう一度だけ、話をしたい
俺はわかれたくない
許してほしい

いや、許さなくても
そばにいさせてほしい

何度も····なんども····
願い、考えていた···ら···
外は明るくなっていた。

会社に行きたくなくて
外回りをすることを連絡した。

仕事をするきにならずに
公園でぼぉっとして過ごす
考えるのは、莉子の事ばかり
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