破 恋

帰りに莉子のマンションに行く
ちょうど同期の安藤がマンションに
入って行くのが見えたから
安藤がでてくるのを待った。

何時間こうしているだろうか···

安藤は、ハンカチで目頭を
拭きながら出てきた。
あいつが泣いていることで
どんな状態かがわかる。

鍵をあけて中に入る
莉子の部屋の中は
シーンとしていた。

箱?と思い中をみると
俺の服?一番上には封筒が
中をみると俺の部屋の鍵。

もう、ダメなのか
悲しみが押し寄せる

リビングを覗くと
莉子がソファーの上で寝ていた。
目蓋には、カーゼが乗せられていた。

どれだけ泣かせて苦しめたんだろう
たまらない気持ちになりながら
莉子の側から離れられなくて
ソファーの下にゴロンとなる。

数日前には、一緒のベッドに寝て
莉子を抱き締めて
寝ていたのに
もう、抱き締めて寝ることは
できないの····だろうか·····
自分が起こしたことなのに
涙が溢れて····止まらない·····

少しするとソファーから
ごそごそ動く音がして
息をつめる莉子
俺がいたからだ。

莉子は、リビングから寝室に移動する
俺に二度ここへ来るな
と、言って
それでもすすり泣く
莉子を一人にできずに
寝室の前に座り込む
寒さに自分の体を抱き締めたまま
廊下に寝てしまっていたが·····
莉子の声で目が覚める

俺の顔···情けない顔をしてるんだろう
莉子が息をのむ
だが、抱き締めてくれた
俺は嬉しさからか
莉子にキスをしようとして
拒絶···された····
バカだ···許されるわけない····のに
自分自身に腹が立ち
自分自身に幻滅した

莉子を怖がらせてしまった事が
嘆かわしい。

俺は、これ以上に
ここにいてはいけないと
ノロノロと立ち上がり
莉子の部屋から出た。
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