破 恋

予定通り
千里は、土曜日の朝に退院した。

千里が退院前の検査に行っている間
病室を片付けて荷物を持ち

千里が支払いをしている時に
タクシーに荷物を詰める。

昨日は、病院には行かずに
千里の部屋を片付けに行った。

その事は千里に伝えて
許可をもらっていた。

あの時のままの部屋を
窓を開けバタバタと片付をして
食器を洗い、ゴミを出し
洗濯機を回して
ベッドの上も綺麗にした。
私達のクッションは
千里のは、ぐちゃぐちゃの服の下から
私のは、寝室のベッドの下に
転がっていた。
それも元に戻す。

やっと、
全てが終わると22時を回っていて
慌てて帰宅する。

翌朝、病院に行く前に
食材等の買い出しをして
千里の部屋の冷蔵庫にいれてから
病院に向かう。

そして、千里と一緒に
千里のマンションに戻る

まだ、退院したばかりだから
ベッドで横になるように伝えて、
お昼の準備をはじめる。

千里は、どうしても先にシャワーを
浴びたいと脱衣所に向かった。
タオルで頭を拭きながら
「生き返った」と、気持ち良さそうに
言う千里を笑いながら
昼食を作っていると
「莉子、本当にありがとう。
莉子があの時来なかったら
命も危なかったと
先生に言われた。
辛い思いをさせた俺に·····
ごめん。」
と、言うから
「退院、良かったね。
野上主任に言われなかったら
いかなかった。
だから、野上主任にきちんと
お礼を言ってね。」
「うん、わかった。
なぁ、莉子。
もう、俺が····嫌いか····?
気持ち····悪いか····?
莉子の中では、ただの同期の
俺でしかない····か···?

俺は······莉子が好きだ。
愛している、他の誰でもなく莉子を。

正直、浮かれていたんだと思う

営業部のエースと言われ
社内いちの美しい女性を
恋人に持ち
こんな幸せな男がいるか····と

あの日も、終わり次第莉子の
マンションに行くつもりでいたんだ。
そしたら課長に桜田さんが
酔っているから方向も同じだし
送ってやれと言われて
課長にも良い顔をしたかったんだと
思う。目が覚めたら桜田さんの
部屋だった。
ごめん、本当にごめん」
と、床に頭がつくくらい
頭を下げる千里。

私は、何て答えたら良いのか
わからなくなっていた。

「わからないの。
自分がどうしたいのか。

千里の全てを忘れて
いちからやり直した方が良い
と、何度もなんども考えた

浮気をする人は、必ずまたやる
と、従姉妹も、それで苦しんでいたから
でも、千里と過ごした日々が
私を苦しめるの
二人で笑ったり、喜んだり
楽しかった日々が······ 」
と、キッチンにたったまま
涙を流す私を
千里は、後ろから抱き締めて
「ごめん、ごめんね。
こんなに苦しめて。
莉子が俺の顔を見るのも嫌なら
我慢して離れて莉子の事を
ずっとずっと見守って···行く···。」
と、言う····と···
「バカっ····せんりの····ばかっ·····」
「りこっ····りこっ········りこ····」
千里から身体を反転させられて
抱き締められ、ふかく··深くキスをされる

私達は、たがが外れたように
お互いに夢中になって
抱きあった。

キッチンで····
リビングのソファーで·····
シャワーをしながら···
お風呂の中でも·····
ベッドに行っても·····
二人で果ててから
顔を見て笑いだした
「「中坊か?」」と。

私の声が掠れていたので
千里はミネラルウォーターを取りに行き
自分が飲んで、私にも口移しで
飲ませめてくれ
おでこをつけて
「身体、大丈夫?」
と、訊ねるから
コクンと頷くと
「今度は、ゆっくり愛したい。」
と、言う千里に···

沢山翻弄されて
   ·····意識を手放した·····
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