破 恋

家に戻り、部屋を片付けながら
洗濯機を回して、千里の分も洗う
待っている間にみかに連絡をして
話すと
「どこまで、お人好しなの。」
と、ぼやいていたが
「莉子の思うようにしなさい。」
と、最後は言ってくれて
「明日ね。」
と、電話を切った。

わかっている
私と千里には
先がないのも。

だけど、あのままだったら
あの時の用に泣いて過ごしていたはず
だから、思い残すなく
過ごそう、と思った。

月曜日、仕事が終わり自宅に戻り
千里の衣類と必要な物を持ち
病院へ。

病室に入ると千里が嬉しそうな顔をした
「約束守った?」
と、訊ねると
そばにいた看護師さんが
「彼女さんが来たら
こんなにニコニコして。
じゃ、悔しいから言い付けちゃお
西原さんは、1日元気なくて
食欲もなくて、回りから
食べないと彼女さんに言い付けますよ
って言われながらやっと食べたのですよ。」
と、クスクス笑いながら話す。

看護師さんに私も千里も 真っ赤に
なっていた。
「まぁまぁ、仲の良いことで。」
と、言いながら
今日の点滴の終了を告げて
看護師さんは、出て行った。

「千里、洗濯物、ここにいれるね。
着替えた?」
「うん。ありがとう。着替えたよ。
体を拭いた後。早くシャワーしたい。」
「うふふっ、もうすぐでしょ?」
「先生が週末には、退院できるって。
だから、しっかり食事をとるように
と、言われた。」
「そう、良かったね。」
と、話した。

面会時間は終わる頃に
「千里の状態をご家族に知らせないと
行けなかったのに
千里のお母様の連絡先が
わからなかったから
私が先生からの説明をうけたの
ごめんね、勝手に。」
と、言っておかないと行けない事を
伝えた。

個人情報もあるし気になっていた。
「ありがとう。心配や迷惑かけて
ごめん。」
「そうだよ。そう思うなら
ちゃんと睡眠とって
きちんと食事をしてよ。」
「うん。なら、莉子が作ってよ。」
と、言うから、ビクッとしたが
答える事が出来ずに
笑うだけにとどめた。

その日の面会も終えて
帰宅して、掃除や洗濯をした。

千里の洗濯物を干しながら
浮かれている自分に
呆気にとられていた。
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