破 恋

千里の母・恵は

土曜日の朝
来客のブザーで
玄関に向かうと
可愛らしい女性が立っていた。

「西原さんのお宅ですか?」
「はいそうですが、どちら様ですか?」
「あのっ、あの~
私は、桜田 杏と申します。
西原、西原 千里さんとお付き合いを
させて頂いています。
突然伺いまして申し訳ありません。」
と、ペコリと頭を下げる桜田さんに
「まあ、あなたが。
千里から、会わせたい人がいると
聞いているの。
その方が、あなたなのね。」
と、言うと
彼女は、顔をあげて頬を赤らめた。
「どうぞ、中へ
あらっ、千里は?」
と、千里がいないことを不思議に
思いながら、桜田さんを中に
案内した。

桜田さんにお茶をだすと
彼女は、涙を目にためていて
「あら、どうしたの?」
と、訊ねると
実は·····と、彼女··桜田さんは
話してくれた。

千里とここ数日連絡が取れないと
千里は優秀な営業マンで
社の女性からも人気があり
私が嫌がらせを受けないように
付き合いをしていることは
社内では内緒にしていると
桜田さんは、入社から間もないし
やっかみも有ることを懸念して
とのことだったらしい。
そんな千里に好意をよせている
千里の同期の女性が
千里との結婚を迫っていて
それをやめさせるのに
姿を隠していると。
だが、元気でいるか
心配でお母様の所に帰っているかと
思って訪ねました。と、言った。

私も心配になり
何度も千里に連絡をとるが
携帯が繋がることも
メールも返信がない

心配する私を安心させようと
桜田さんは、家庭菜園を一緒に
してくれたり
食事の準備をしてくれたり
私を励ましてくれた。
若いのに優しくて良い子で
私も嬉しかった。
日曜日に桜田さんが帰ってからも
千里に連絡するが
繋がらず

月曜日の朝
会社があるのだからと
千里の携帯へかけてみる
千里が出たのでほっとして
少しだけ話をすると···
千里は····驚いて
また、夜に電話をすると
言って切った。

何かが···起こってる······

心配にはなるが
学校へ行く準備をした。

この後
私の言葉が
人を傷つけるなんて········
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