破 恋
五章··帰国

成田空港におり立つ。

ゲートを潜ると
みかが待っていてくれた。
その横に専務も

「ただいま戻りました。」
と、専務に頭を下げる私に
「お帰り、莉子。」
と、抱き締める、みか
そんな私達をみながら
専務から
「お疲れさん。」
と、声をかけられた。

上海空港までは雨桐さんと
支社の人達に空港まで
送られて別れをした。
本当に楽しい期間だった。
「また、是非来てね。」
と、雨桐さんと抱き合い
「はい。
また、お役にたつことがあれば。
それと私用でも遊びにもきますね。」
と、約束した。

「莉子、良い顔になったよ。」
「そうかな?でもそれが本当なら
全て、専務とみかのお陰です。」
と、言いながら
空港を後にした。

今日は、少し話があるとかで
専務も来るとの事だった。

千里と今後どうすべきなのか
考えたが、これは一人で
考えるものではない。

桜田さんとの間には
何もなかったのだ。

千里と話をしよう。
これから先の二人の進む道を·····


専務が運転する車に乗って
景色を見ながら考えていた。

ふと風景を見ていて
「あの?どちらに向かって
いるのでしょうか?」
見慣れない景色に訊ねると

「莉子、あのね····

「みか、待て。
泉さんにそのまま会ってもらおう。」
「でも、舜二。」
「大丈夫。」
二人がなんの話をしているか
わからないが······

私は二人を信用している
着いてから聞けば良いと思い
「わかりました。」
と、伝えると
みかは、ほっとしたような顔をした。

車は、大きな病院の
駐車場へと入って行った。
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