没落姫の溺愛婚~双子の寵姫も楽じゃない!?~
「もう……っ、彬親様、芳哉様っ!
わざわざ二人して、口で説明しなくていいですからぁ……っ!!」

 二人して彩希の表情を細かく見極めて中継してくれるので、恥ずかしさが割増しだ。

 この部屋には三人以外は誰もいない。

 彬親と芳哉が、彩希以外の全員が部屋から下がるように命じたから。

 だから、この恥ずかしい会話を誰も聞いていないことが、彩希には唯一の救いだ。

「あ、あの……。
どうして、お二人は私をそんなに構うのですか」

 ふと気になったことを、彩希は顔を両手で覆ったまま聞いていた。

 二人に拾われ、女房になってからずっと思っていたことだった。

 この彬親と芳哉の暮らす邸には、選りすぐりの素晴らしい女房達が山ほどいる。

 そちらには目もくれず、全くそばには侍らせないし、いつも下がっててくれと部屋から追い出されてしまう。

 それなのに、彩希はいつもそばに侍らせていて、もし近くにいないと必ず自分達で探して回り、わざわざ満面の笑みで出迎えに来たりする。

 さらには、二人は今のように彩希に飴玉を溶かすみたいに甘く優しく囁いて、距離をぐっと詰めてくる。

そして、ぎゅうっ、と強く抱きしめて、眠る直前まで離してくれないことも、たまにあるのだ。

「どうしてって……うーん……。
まさか、本気で気づいてないのかな……。
まぁ、そこも可愛いんだけどね」

「意地っ張りすぎて、若干もどかしいけどな。
でも、そんなお前に振り回されてる時間さえ、俺達は愛しいさ」

 彬親と芳哉が、膝の上で恥ずかしさに悶えていた彩希の頭をぐりぐりと二人同時に撫で回す。

 表情はとても晴れやかで、なんだかすごく楽しそうだ。
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