怖がらないで

蓮side


寝てしまった大毅を車からおんぶで楽屋に運ぶ。

既に楽屋は賑やかでKILLERが来ていることが分かった。


｢遅れました｣


楽屋の扉が少し開けられていることから手が塞がることを見越されていてKILLERには本当に頭が上がらない。


｢お疲れ様。大毅の調子は？｣

｢舘様もお疲れ様です。調子はまだ戻ってなくて…今はとりあえず寝れてるみたいなんですけど｣

｢んーなるほど｣


舘様こと宮舘 淳太(みやだて じゅんた)は、とにかくロイヤルな男。

料理ができ白馬が似合う貴族と言われることもあるほどのすごい人。

しっかり者で大毅のこともよく分かってくれてる。


｢今日できそう？｣

｢あ、お疲れ様です照くん｣

｢ちょっと熱あるな｣


大毅を俺の背中から下ろして開けていてくれたソファにそっと寝かせる照くんこと濱田 照(はまだ ひかる)はKILLERのリーダー。

しっかりとした身体に一般よりもかなり高い身長。

強面で仕切るのが上手な人なんだけど、甘いものが大好きでお人形遊びもしちゃうし、怖がりですぐに大声をあげるという可愛い一面もある。


｢今朝はなかったのになぁ｣

｢疲れたのか…｣


大毅に毛布をかけてあげて耳にするタイプの体温計でサッと計るとディスプレイには37.8の文字。

高いなぁ

撮影の時はあんまり思わなかったんだけど


しんどいが分からない大毅にとって体の不調を訴えさせるのはなかなか厳しい。

かといって俺が過保護にしても大毅が気にしすぎて心が弱ってしまう。


｢まぁ蓮もちょっと休めここ見とくから｣


照くんに促されKILLERが集まってる輪に近づくと1番に近づいてきたのは佐久間くん。


｢おはよーピーマンであります！｣


元気な佐久間くんも大毅のために声のボリュームは控えめ。


｢おはようございます、すみません忙しいのにこんな感じで…｣


今日しか時間が取れないKILLERのために集まったのに全く進んでないこの状況。

申し訳なくもなってしまう。


｢全然いいよ！大毅大丈夫なの？｣

｢あ、熱ありますけど精神的なものだと思うんで休ませれば多分大丈夫です｣


佐久間くんこと佐久間 智洋(さくま ともひろ)はアクロバットがダントツに上手くて、ダンスのセンスもピカイチ。

少し身長が小さめだけど見劣らないほどのうまさ。

ハキハキとした喋り方で歌声も芯がしっかりしてて聞きやすい。

超が着くほどの優しい性格で、大毅が倒れた時いつも1番に動いてくれる。

大毅はいい人達に囲まれてるなぁ。

泣いたあとの残る大毅の頬をそっと撫でてKILLERの輪に戻った。