あたしを撫でる、君の手が好き。

「るみのほうが『岸のことが大好き!』って感じなのかなーって思ってたけど。何気に、岸のほうが、るみのこと大好きだったんだね」

口元に手をあてた桃佳が、ニヤニヤしながらからかってくるから、恥ずかしい。


「も、モモちゃん!」

横目に桃佳を睨んでみたものの、隠しきれないくらいに頬が熱かった。

桃佳の言うとおり、付き合い出してから急に、あっくんの視線を感じることが多くなった。

授業中だったり、休憩中の教室だったり、教室移動中の廊下だったり。

今まではあたしが一方的にじーっと見ているだけで、たまにしか目が合わなかったのに。最近では、あっくんのことをこっそり見ようとする度に、1日に何度も視線が交わる。

あたしのことを気にかけてくれてるんだと思うと嬉しいのだけど、目が合うたびにドキドキして授業どころではなくなる。桃佳と話していたって、うわの空になってしまう。

そのうえ、今みたいに周囲に気付かれないように笑いかけられたときにはもう……、心臓がドカンと爆発しそうになって平静な顔でいられない。

そんな状況では心臓がいくつあっても足りないから、この頃はなるべくじっとは見つめないように、あたしの視線をなるべくあっくんに気付かせないように、チラ見するだけに留めるようにしているのだ。


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